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毒男とぬらりひょんと朱の盆と『ゲゲゲの鬼太郎』のようです

 

('A`) < んまっ

 

 

どーくお、毒男、どーくおわっしょい

いやー、ね。鬼太郎6期が最終回ですよ

妖怪が好きで、漫画が好きで、アニメが好きで、水木しげるが好きで、2018年からチンタラ感想ブログを綴ってきた身としては胸にクるものが御座いました。

 

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イラストはぬらりひょん&朱の盤。

結局一番カッコ良かったですよね。いかしてた。主従関係の始まりとか、掘り下げた話も見てみたかったです。今回こそだいぶ空気でしたけど

 

話としてはこれまでの総括というか、〆に相応しい内容だったのかな、と。以下、いつもの如く、いつもよりネタバレです。

前回潜入したあらざるの地で再会するキタまなですが「(まなに煽られたのもあって)妖怪と人間の共存の為に散々首突っ込んで来たけど結局戦争じゃん!もうやだ!ムリ!」とドンヨリふてくされる人格(魂?)が肉体から分離した状態の鬼太郎はまなをマトモに認識出来ません。

幼児退行ちゅーか歳相応ちゅーかのショタい声使いで戸惑う鬼太郎(本体)。そしてシリーズ通して葛藤で揺れに揺れる心の未熟さを遺憾無く発揮しネガりまくる鬼太郎(精神体)。二つが重なった時まなは「鬼太郎はすっごく頑張ってくれたじゃない。鬼太郎とは良い思い出しかないよ。忘れちゃったんだったら私の思い出をあげる!」と決意のハグ。

同時に色んな回想が走馬灯の如く駆け巡ります。このシーンはなかなか感動モノでしたね。エピソード全体を通じて割と頻繁に過去の場面が挿入されてて、うおおって。んで今期最初の方に言及されてた鬼太郎の育ての親「水木」も一瞬ですが再登場。キタまなの思い出ちゃうやんと内心ツッコミつつも、鬼太郎の根底に確かに在る「人妖が共に生きて行く」理想の源泉は、人間たる「水木」に対する感情が少なからず噛んでるって解釈も可能やも知れません。

 

つか、良い思い出ばっかりな訳ない筈なんですよね。

ラスト号泣で終わった境港の隠れ里回、同級生が闇堕ちしたずんべら回、完全なるバッドエンドだったほうこう回、言わずもがな今日に至るまで禍根を残すおどろおどろ回辺りは含まれてないんでしょうか。記憶から抜け落ちてるんでしょうか。いうて鬼太郎が居なきゃまなは確実にこの世に居ないので「鬼太郎が居る」ってのが重要なのかな。

兎にも角にも、猫娘を生贄に凸した異空間で鬼太郎を抱き締めるというとことん猫娘を出し抜く行為によって奇跡が起きます。鬼太郎は自我を取り戻し、気絶したまなと共に間一髪、現世へ蘇ったのです。作画の妙なのか、若干成長して4期みのあるデザインに映りました。俺だけかな。

 

あらざるの地への扉を開いた石動&伊吹丸、文字通り命を賭して血路を開いた猫娘、いざという時に備え指鉄砲を構え見守っていた親父、戦いを止めようと奔走しながら石動達に向けられる人間の攻撃を防いでいた鬼太郎ファミリーにアデル、アニエス姉妹と、各メンバーも集まっています。塗り壁なんか直に銃弾受けてましたからね。例の対妖怪銃だったらどうしてたんだ

 

更に其処には、鬼太郎を喪いぬらりひょんに裏切られ失意に暮れる中、はたおんりょうが特殊部隊員を頭からかじり、邪魅にロケット弾が降り注ぐガチ市街戦を目の当たりにし疲弊しきっていたねずみ男も。魔女から話を聞いて駆けつけていたのです。

人間も妖怪もおかしくなってるし、凄いあっさり死ぬんですよね。戦なので。人妖の溝を大テーマに据えて来た6期が導き出した答えであり、時事をネタに扱う『鬼太郎』にとって究極の社会問題であり、命の価値を狂わせる戦争の呆気なさ、虚しさを抉り出す水木作品の踏襲という面も有りそうですが、あの、日曜朝9:30ですよと。仮面ライダーとかも大概ですけど、今期は平常回でもほんっとよく人が死にました。んで死んだってのを見せる見せる。

 

復活即べアードを何とかして地球を救うミッションを課された鬼太郎は試しに天へ指鉄砲を撃ってみますが、案外理性が残っていたべアード様は「邪魔するな」とお怒り。やはり奇跡は起こらないのか…て所で

 

ねずみ男が演説を開始。

世界崩壊間近にも関わらず意地だの尊厳だのに固執して「1人でも多く道連れにしてやる」と息巻く両軍を叱り飛ばし、銭にならない諍いで命を無駄にし尊い日常をフイにするなんて馬鹿げていると激昂。「戦争なんて腹が減るだけだ」と、知る人ぞ知る格言も投下されます。

その様子は砂かけ婆が放送ネットワーク的なアレをハックして全国へ中継。株でひと財産築く等、偶に見せつけて来た謎のハイスペックっぷりが活かされました。どこ回収しとんねん

 

決めるとこバチィッと決めるねずみの大立ち回りは効果覿面、憎悪や畏怖の具象化と言わんばかりに黒いオーラを迸らせていた人妖も掌が千切れる勢いで心打たれ、鬼太郎の仲間達と共に如何にも光属性な白いオーラと応援を送り始めたのです。

このオーラ、説明とかされてましたっけ。なんか名無しの時も唐突に皆オーラ纏いだした印象なんですが。まぁプリキュア履修してるんで大体判りますよ。アレでしょ。キラキラルでしょ。

 

キラキラルを放つのは過去回で鬼太郎と交わって来たそうそうたるメンツ。

初期時点ではまなくらいメインを張ると予想していた裕太達。早くからイかれた戦争に反旗を翻しピンチの豆腐小僧銃口から庇った勇気は数多の視聴者の心に刻まれた事でしょう。そして数少ないまともな同級生の雅、雪女と熱血漢のアベック、のっぺらぼうと特撮オタク俳優、チャラトミ、鳥取の皆様、烏天狗、猫魔etc…

流石にここまでされると集大成って感じしますね。チンさんも鳥取のシーンに小さく描かれてたかと。血眼になって探しました。

 

因みに総理は番組中盤でべアードのドロドロ爆弾により雑に退場させられました。内閣総辞職ドロドロ。あんなに奮闘してたのにね。或る意味一番被害者でしょ。人智を超えた危険生物に振り回されて。妖怪嫌いなのに。

 

肝心の美琴ちゃんも憑物が落ちたような表情で「鬼太郎…」と呟きキラキラルを供給していました。自らも戦争で傷付いて、絶望に抗う鬼太郎の姿を目にして、僅かでも救われるものが有ったのでしょうか。

それでええんか。改めて鬼太郎から声かけるとか、何かしら絡みが有っても良かったとは思います。俺はね。本当にあの終わり方酷かったからね。

 

グチグチいうてる間に元気玉よろしく、溜まりに溜まったパワーの後押し(?)で指鉄砲がべアードを貫きます。吸収した部下の分を足して魂四つ出てましたね。変に細かい。

ねずみ男がコレを期待していたのかは分かりかねますがスーパーファインプレーと言えるでしょう。やっぱ『鬼太郎』を掻っ攫うのはねずみ男なんよな。

 

 

そして、なんぼ程仕事するねんなねずみ男に戦争責任を暴かれた上、べアードをも粉砕される展開は流石に予想外だったらしく、最終回で只管歯噛みするばかりだったぬらりひょんが鬼太郎に接触

同胞を無為に散らした身、逃げも隠れもしないと宣いますが鬼太郎は「生きて罪を償ってくれ」と極めて甘ったれな返答。満足なトドメも刺せやしないと判断した翁は「償うような罪は犯していない」と鼻で笑い、第二第三のぬらりんを予言、手製の爆弾で潔く自決を選びました。まぁ、この鬼太郎にこのぬらりひょんは殺せませんわな

 

 

一件落着かと思いきや、意識を回復したまなはあらざるの地で無茶した代償で鬼太郎達の記憶がごっそり抜けていました。本当に「思い出をあげた」んですね。悲痛な面持ちで駆け寄るアニエスも、情緒ぐずぐずで泣き崩れる猫娘も誰だか分からない。なんてこった

人外と交流→別れに際してその記憶が消えるパターンは王道っちゃ王道なんで、まなは忘れてしまったかも知れないけど、気付かれないかも知れないけど、僕は側に居るよ。で「見えない世界が全てじゃないよ」と〆るのかなとぼんやり予想しながら観てたら

 

 

 

10年経ってました。

10年。まぁ妖怪と縁が無くなったら10年なぞあっちゅう間ですわな。

まなは異様な髪型をキープしながらも立派に成長。

初回を想起させる夕暮れの路地、チラつく街灯。

 

背後よりまなに忍び寄る、怪しい影。

 

 

 

影がまなに襲いかかる直前、下駄を鳴らして鬼太郎が現れます。妖怪が人間に害を成す時、鬼太郎は颯爽と登場するのです。お前は育ってねぇな。

ブン殴られたのはわいら。6期はケツのケツまでマイナー妖怪のヘイトを買っていくスタンスでした。

 

 

何が何だかのまな。

 

 

仕事を終えて去ろうとする鬼太郎。

 

 

二人がまた、すれ違いかけたその時

 

カラン、コロン

 

と響く下駄の音が、彼女の琴線に触れます。

鬼太郎との繋がり。猫娘との絆。沢山の妖怪達との奇妙な交錯。名無しの呪いからの解放。西洋妖怪の侵攻と魔女との出逢い。四将との激闘。石動との邂逅。ぬらりひょんが巻き起こした第二次妖怪大戦争

鬼太郎に全てを託したあの日の記憶がまなを貫きます。

 

 

「…鬼太郎?」と呟くまな。

 

 

振り返る鬼太郎。

 

 

 

 

 

で、幕と。

後は朱の盆が一人で寂しそうに「ぬらりひょん様…」と呟く激萌えシーンや、以前の約束通り鬼太郎ファミリー+αが寝肥りの旅館に泊まって撮った写真を猫娘とLINEのパチモンで遣り取りするシーンが添えられてました。手を振る目玉親父(ゆるゲゲ?)のスタンプが我々にもメッセージを届けてくれてます。

EDも各メンバーの活躍をアーカイブでお送りする最終回仕様で、エンドカードは今までの名場面に(恐らく)描き下ろしを加えたアルバム風。

 

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センターを飾る朱の盆と泥田坊が目を引きますね。

 

6期の尖りきった作風や捻れきった展開はかなり自重気味で、普通に山を乗り越え、普通に皆で力を合わせ、普通に敵を倒し、普通に大切なものを失い、別れ、でもラストに温情で付け足したようなハッピーエンド。温情ハッピーエンドしゅきぃ。キュッと風呂敷を畳みました

 

まぁ要は、

やっぱ皆でワイワイってのは難しいね。取り敢えず仲良く出来るのは鬼太郎達とまなだけでしたね。

ていう。事、なんですかね。敢えて決着付けるとするならば。妖怪に対する社会の態度も曖昧なままでしたし。

あれだけの犠牲を払った戦争の背景はちゃんと伝わって無さそうだし(どころか異常気象として処理されてるっぽい?)、6期の一連の事件きっかけで妖怪が更に社会に馴染んだ感じでもなく(相変わらず妖怪が暴れているらしく噂に上がっているが神社に妖怪が出るという話は信じられていない)、年月の経過もあってか現状維持、寧ろのびあがり回のノリまで逆戻りでは?ってくらい。

種族丸ごと友好に…という願いについては「多様性を認めろってんならアンタらが嫌いな私も認めろや」つって鬼太郎を抹殺した女性総理が既に答え出しちゃってる気もします。

 

陳腐な結論ですが、ケースバイケースなんですよね。

妖怪を理解しようとする人、端から理解しようともしない人、友好的に接しようとする人、研究対象とする人、利用する人、対立もやむなしとする人、見えない世界を信じている人、憧れている人、興味も持っていない人、生理的に毛嫌いしている人。

妖怪にも人間が好きな者、分け隔てなく付き合える者、我関せずな者に、闇を奪ったと憎んでいる者も居る訳で、出逢ってしまったらどう転ぶかは個々の関わり、理解度に依るんだろうなと。

僕達はその例を、6期を通じて延々見てきたんですよね。そーゆー折衝の度に理想を求めて、必死で(重役出勤→指鉄砲ぶっぱのルーティン化してたとは言え負けたら死にますからね)働きかけてた鬼太郎、間違ってなかったんちゃうかなって。この期に及んでうっすら淡い期待?希望?を抱いちゃいました。

 

 

はい。

 

 

拙い感想と浅い知識ででっち上げた、ただでさえ冗長な駄文が最終回に近づくにつれやたら嵩んでいき、自分で読み返すのも億劫になる程度のお粗末なブログでしたが、一つのアニメ作品を、然も思い入れの有る『鬼太郎』を、通しで視聴して感想をネットの片隅に書き置く、という作業は私の二年間を豊かに彩ってくれました。常に「もうこれ『鬼太郎』じゃなくてええやん」と「いやーでもこれは『鬼太郎』じゃなきゃやれへんわ」のせめぎ合いでした。

でも幸せでした。2020年に現行の『鬼太郎』についてあーだこーだ語り腐れるのは、最高に幸せでした。オタク冥利に尽きます。

個人的な回ごとの評価がブレ過ぎて、纏めて感想ってのはムズいです。取り敢えずは、最高に幸せでしたと。感謝と共に述べさせて頂きたい。

 

 

有難う御座いました。

 

 

そして勿論(嘗てのシリーズがそうであったように)認められない、受け入れられない、納得いかない箇所に憤りを覚えたり、苦しんだ方もおらっしゃったでしょう。曲がりなりにも『鬼太郎』を愛する僕も、しばしば腹が痛くなったものです。祈念碑じゃないですが、諸々併せて

 

 

お疲れ様でした。

 

 

 

 

 

OVA、作ってくれないかなー。いざ終わるとなるとね。もっと欲しくなるのこれヒトの業ってもんでして。朱の盤が主役のストーリーとか、終戦後のキタネコとか、ねずみ男と石妖のロマンスとか。

 

 

 

 

 

あ、その前に5期完結させよう

 

 

 

 

('A`)  < でざいあ