('A`) < まんじり
毒男どえす。どっちかと言うとドMです。
更新ギリギリセーフ。いやまぁ挨拶とイラストだけ先挙げて文章は月曜日に書いてるのでガチガチアウトなんですが
今週の妖怪は「え」の「えびぞう」。
辻一輝著『化物集』に見られる妖怪で、象の頭にエビ(寿司?)の身体を持つキメラだらけの想像上動物界でも際立った珍妖です。よきビジュアルですね。昔の象とかラクダとかクジラの描き方、非常に東洋モンスターみが強くてすここです。
然もインパクト抜群なこの容姿に加え、様々な姿に化けられる高スペックの持ち主。
まぁ見りゃ判る話ですよね。
ダジャレです。
現代日本でも知らぬ者の居ない歌舞伎の大名跡(今は團十郎の進化前みたいな扱いですけど)、市川海老蔵をもじって創作されたものでしょう。九分九厘。
天才バカボンで言うとこのトンボとカエルが結婚したからトンボガエリ、牛とニワトリでモウケッコウとか、そういうノリ。解説によると「市川に住んでいるのは有名」らしいです。作り込みが丁寧。
こういう「どこそこで現れた」やら「だれだれが退治した」みたいな伝承をすっ飛ばして100%創作者の遊び心で産み落とされ、「妖怪」として描かれたが故に今に至るまで妖怪のジャンルで暴れている愉快なキャラクターは山ほどいます。
えびぞうはその最も分かり易い例と言えるのではないでしょうか。えびぞうですもの。えびぞうて。
同パターンでは江戸の妖怪画家筆頭、鳥山石燕氏の為事が有名です。
石燕が残した妖怪画には河童や天狗等、伝承に則った方々に混じる形でオリジナル妖怪が多数収録されてまして、彼等のデザインや意匠を分析する、或る種の絵解きによって異形の姿に隠された社会的背景、風刺、パロディや地口が深読み出来る…とされています。この辺はもう研究の域です。
言ってみれば個人のオリキャラなんですが「妖怪」という凡ゆる境目を曖昧にするプライベートでパブリックなジャンルに属した結果、 後世の書籍で取り挙げられる際、勝手に如何にも伝承に残っているかのような脚色がされたり、妖怪クラスタにワイワイ担がれたりする中でまた変幻自在に「化けて」いく訳ですね。
2020年、就活に喘ぐ大学生が自分のシャレをなぞるとは辻さん本人は恐らく夢にも思ってなかったでしょうし。もしかしたら黒歴史ほじくられてるくらいの感覚かも知れません。石燕師匠も苦笑いしてますよ。「いや擦り過ぎ擦り過ぎw」つって(書くだけタダ)。因みに今期プリキュアのキーアイテム「すこやかまんじゅう」は石燕が描いた人面樹にそっくりです。
完全なるギャグの部類。オリジナルの怪獣というか、モンスターというか、そういう存在の居場所としても、当時は「妖怪」というジャンルの間口がより広かったのかな、と。
諸々の奇跡が重なって、時空を超えて今此処に顕現せしめた「えびぞう」くんな訳ですね。いやー、妖怪って面白いなー
と同時に「えびぞう」のネタを僕達がちゃんと理解できてしまう辺り、新鮮な風も取り込みつつウン百年の昔から名前を守り続けてる歌舞伎の世界ってやっぱ“伝統”芸能なんだなー、半端ねーなーと。
まぁ歌舞伎側はまさか「えびぞう」を共有出来る事実でその凄さを体感してる奴が居るとは、それこそ夢にも思ってないでしょうけど。
では
('A`) < ンモー